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収入と所得の違いとは?確定申告・税金計算で迷わないための基礎知識をわかりやすく解説

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「収入はいくらですか?」「所得はどのくらいですか?」――日常会話ではほぼ同じ意味で使われるこれらの言葉ですが、税金の世界ではまったく別の概念です。この違いを正しく理解していないと、確定申告で記入を間違えたり、本来受けられるはずの控除を見逃したり、場合によっては税務署から指摘を受けたりすることにもなりかねません。

とくに会社員の方は、毎月の給与明細に記載された額面給与を「収入」と認識している方が多い一方、個人事業主やフリーランスの方は「売上」を収入と捉えています。しかし、税金の計算に使われるのは「収入」ではなく「所得」です。では、収入から所得はどのように計算されるのでしょうか。

この記事では、収入と所得の違いを基本から丁寧に解説し、確定申告や税金計算の場面で迷わないための基礎知識をお伝えします。2025年(令和7年)分の税制改正による最新の変更点もあわせて紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

  1. 「収入」とは何か?まずは定義を押さえよう
      1. 収入の具体例
  2. 「所得」とは何か?収入とのちがいを明確にする
      1. 収入と所得の関係を図式化すると
  3. なぜ「収入」と「所得」を区別することが重要なのか
      1. 配偶者控除・扶養控除の判定
      2. 各種手当や制度の所得制限
      3. ふるさと納税の控除上限額
  4. 所得の10種類を知っておこう
  5. 会社員の「給与所得控除」を詳しく理解する
      1. 給与所得控除額の速算表(2025年分以降)
      2. 具体例で見てみよう
  6. 個人事業主の「必要経費」はここが違う
      1. 必要経費として認められる主なもの
      2. 具体例で見てみよう
  7. 「収入」から「課税所得」、そして「税額」へ|税金計算の全体像
      1. ステップ1:収入金額を把握する
      2. ステップ2:所得金額を計算する
      3. ステップ3:所得控除を差し引く
      4. ステップ4:税率を適用して税額を算出する
      5. ステップ5:税額控除を差し引く
  8. 所得税の税率|超過累進課税の仕組み
      1. 所得税の速算表(2025年分)
  9. 2025年(令和7年)分の税制改正で何が変わった?
      1. 基礎控除額の引き上げ
      2. 給与所得控除の最低保障額の引き上げ
      3. 特定親族特別控除の新設
  10. よくある間違いと注意点
      1. 間違い1:「年収500万円だから税率20%」と思い込む
      2. 間違い2:確定申告書の「収入」欄と「所得」欄を取り違える
      3. 間違い3:副業の「売上」をそのまま所得として申告する
      4. 間違い4:パート収入で扶養の範囲を「収入」で考えてしまう
  11. 確定申告をスムーズに行うためのポイント
      1. 源泉徴収票をしっかり確認する
      2. 帳簿と領収書は日頃から整理する
      3. 国税庁の確定申告書等作成コーナーを活用する
      4. 迷ったら税理士や税務署に相談する
  12. 会社員にも確定申告が必要なケース
  13. 「手取り」との違いにも触れておこう
  14. まとめ|収入と所得の違いを理解して、正しい確定申告を

「収入」とは何か?まずは定義を押さえよう

収入とは、経費や控除を差し引く前の「入ってきたお金の総額」のことです。税法上は「収入金額」と呼ばれます。

たとえば会社員であれば、基本給に残業代や各種手当、ボーナスをすべて合算した年間の額面給与の総額が収入にあたります。手取り額(銀行口座に振り込まれる金額)ではなく、社会保険料や税金が差し引かれる前の金額であることがポイントです。源泉徴収票に記載されている「支払金額」の欄が、まさにこの収入金額です。

個人事業主やフリーランスの場合は、1年間の売上の合計額が収入にあたります。クライアントから受け取った報酬や、商品を販売して得た代金などの総額です。仕入れにかかった費用や交通費、通信費といった経費を差し引く前の金額が「収入」です。

収入の具体例

働き方 収入にあたるもの 具体例
会社員・パート 額面給与の年間合計 月給30万円 + ボーナス60万円 = 年収420万円
個人事業主 年間の売上合計 デザイン報酬800万円 + 講演料50万円 = 850万円
不動産オーナー 年間の家賃収入合計 月額賃料10万円 x 12ヶ月 = 120万円
年金受給者 年間の年金受給額 公的年金200万円 + 企業年金50万円 = 250万円

このように、収入はあくまで「もらった金額の総額」であり、ここから何かを差し引いた後の金額ではありません。

「所得」とは何か?収入とのちがいを明確にする

所得とは、収入から「必要経費」または「所定の控除額」を差し引いた後の金額です。つまり、稼いだお金のうち「実質的にどれだけの利益が手元に残ったか」を表すのが所得です。

これを計算式で表すと、次のようになります。

所得 = 収入 – 必要経費(または所定の控除額)

会社員の場合は「必要経費」を個別に計算する代わりに、「給与所得控除」という概算の経費枠が収入額に応じて自動的に決まります。スーツ代や通勤にかかる費用などを個別に申告する必要がないよう、あらかじめ一定の割合を差し引いてくれる仕組みです。

一方、個人事業主の場合は、実際にかかった経費を自分で計算して差し引きます。事務所の家賃、仕入れ費用、通信費、交通費、消耗品費など、事業に関連する支出が必要経費となります。

収入と所得の関係を図式化すると

働き方 計算式
会社員・パート 給与所得 = 給与収入 – 給与所得控除
個人事業主 事業所得 = 事業収入(売上) – 必要経費
不動産オーナー 不動産所得 = 家賃収入 – 必要経費(修繕費・管理費など)
年金受給者 雑所得 = 年金収入 – 公的年金等控除

確定申告書では、最初に「収入金額等」の欄に収入を記入し、その次の「所得金額等」の欄に計算後の所得を記入します。この二つの欄を取り違えると、正しい税額が計算できなくなるため十分注意が必要です。

なぜ「収入」と「所得」を区別することが重要なのか

収入と所得の区別が重要な理由は、税金の計算に使われるのは「所得」だからです。日本の所得税は所得に対して課税される仕組みであり、収入がいくら多くても、経費や控除を差し引いた「所得」が少なければ、課税額も小さくなります。

具体的な場面をいくつか挙げてみましょう。

配偶者控除・扶養控除の判定

配偶者控除や扶養控除を受けられるかどうかの判定は、「収入」ではなく「合計所得金額」で行われます。たとえばパートで働く配偶者の場合、2025年(令和7年)分以降は給与収入が約123万円以下(合計所得金額58万円以下)であれば配偶者控除の対象となります。「年収がいくらまでなら大丈夫?」と聞かれたときに、つい収入の金額だけで判断しがちですが、正確には所得の金額で判定されている点を理解しておきましょう。

各種手当や制度の所得制限

児童手当や高等学校等就学支援金、医療費助成制度など、行政の各種制度においても所得制限の基準は「所得」で設定されています。収入額で判断していると「対象外だと思っていたのに実は対象だった」「対象内だと思っていたのに対象外だった」といったミスマッチが起こり得ます。

ふるさと納税の控除上限額

ふるさと納税で自己負担2,000円の範囲内に収めるための控除上限額も、収入ではなく所得(厳密には課税所得)をもとに計算されます。

所得の10種類を知っておこう

日本の税法では、所得はその発生原因に応じて10種類に分類されています。それぞれ計算方法や税率が異なるため、自分の収入がどの所得に該当するのかを把握しておくことが大切です。

所得の種類 内容 計算方法の概要
給与所得 会社員・パート等の給与や賞与 給与収入 – 給与所得控除
事業所得 個人事業主・フリーランスの事業による所得 総収入金額 – 必要経費
不動産所得 土地や建物の貸付による所得 総収入金額 – 必要経費
利子所得 預貯金の利子、公社債の利子など 収入金額(原則、源泉分離課税)
配当所得 株式の配当金、投資信託の分配金など 収入金額 – 株式等の取得に要した負債の利子
退職所得 退職金、一時恩給など (退職収入 – 退職所得控除額)x 1/2
山林所得 山林を伐採・譲渡して得た所得 総収入金額 – 必要経費 – 特別控除
譲渡所得 土地・建物・株式等の売却益 譲渡価額 – 取得費 – 譲渡費用 – 特別控除
一時所得 懸賞の賞金、保険の満期返戻金など (総収入金額 – 支出額 – 特別控除50万円)x 1/2
雑所得 公的年金、副業収入、仮想通貨の利益など 総収入金額 – 必要経費

副業をしている会社員の方は、本業の給与所得に加えて、副業の所得(事業所得または雑所得)も合算して確定申告を行う必要があります。それぞれの所得について「収入 – 経費(控除)= 所得」の計算を個別に行い、最終的に合計した金額が「合計所得金額」となります。

会社員の「給与所得控除」を詳しく理解する

会社員やパートタイマーの方にとって最も身近なのが「給与所得控除」です。これは、個人事業主でいうところの「必要経費」に相当するもので、給与収入の額に応じて自動的に計算されます。

2025年(令和7年)分の税制改正により、給与所得控除の最低保障額が従来の55万円から65万円に引き上げられました。これにより、給与収入190万円以下の方に適用される控除額が拡大しています。

給与所得控除額の速算表(2025年分以降)

給与等の収入金額 給与所得控除額
162万5,000円以下 65万円
162万5,001円 ~ 180万円 収入金額 x 40% – 10万円
180万1円 ~ 360万円 収入金額 x 30% + 8万円
360万1円 ~ 660万円 収入金額 x 20% + 44万円
660万1円 ~ 850万円 収入金額 x 10% + 110万円
850万1円以上 195万円(上限)

(出典:国税庁「No.1410 給与所得控除」をもとに作成。190万円超の給与所得控除額は改正前から変更なし)

具体例で見てみよう

年収400万円の会社員の場合、給与所得控除額は「400万円 x 20% + 44万円 = 124万円」です。したがって、給与所得は「400万円 – 124万円 = 276万円」となります。この276万円が、税金の計算のもとになる所得金額です。年収400万円に対して直接税率をかけるわけではない、という点をしっかり押さえておきましょう。

個人事業主の「必要経費」はここが違う

個人事業主やフリーランスの場合、「必要経費」は自分自身で集計しなければなりません。会社員の給与所得控除のように自動で決まるわけではないため、日頃からの帳簿付けと領収書の保管が不可欠です。

必要経費として認められる主なもの

事業に関連する支出であれば幅広く経費として計上できます。たとえば、仕入原価、事務所の家賃、水道光熱費(事業使用分)、通信費、交通費、広告宣伝費、消耗品費、減価償却費、外注費、書籍代、ソフトウェアの利用料、会議費、研修費などが該当します。

一方で、プライベートな支出は経費にはなりません。食費や趣味の費用、家族との旅行代などは当然ながら対象外です。自宅を事務所として使っている場合は、家賃や光熱費の一部を「家事按分」として事業使用割合に応じて経費計上できますが、全額を経費にすることはできません。

具体例で見てみよう

フリーランスのWebデザイナーで年間売上が600万円、必要経費が180万円だった場合、事業所得は「600万円 – 180万円 = 420万円」です。さらに青色申告を行っていれば、最大65万円(e-Taxによる電子申告の場合)の青色申告特別控除を差し引くことができるため、事業所得は「420万円 – 65万円 = 355万円」まで圧縮されます。

「収入」から「課税所得」、そして「税額」へ|税金計算の全体像

収入と所得の違いがわかったところで、実際に税金がどのように計算されるのか、全体の流れを確認しましょう。所得税の計算は、大きく分けて以下のステップで進みます。

ステップ1:収入金額を把握する

1年間(1月1日~12月31日)に得た収入の総額を確認します。会社員なら源泉徴収票の「支払金額」、個人事業主なら帳簿上の売上合計です。

ステップ2:所得金額を計算する

収入から必要経費(給与所得控除など)を差し引いて、所得金額を算出します。複数の所得がある場合はそれぞれ計算し、合計します。

ステップ3:所得控除を差し引く

所得金額からさらに「所得控除」を差し引きます。基礎控除、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除など、全部で15種類の控除があります。これらを合計して所得金額から差し引いた残りが「課税所得金額」です。

ステップ4:税率を適用して税額を算出する

課税所得金額に、所得税の税率(超過累進課税)を掛けて税額を計算します。

ステップ5:税額控除を差し引く

住宅ローン控除や配当控除などの「税額控除」がある場合は、算出した税額からさらに差し引きます。

この流れを式にまとめると次のようになります。

ステップ 計算内容
1 収入金額を確認する
2 収入 – 必要経費(給与所得控除)= 所得金額
3 所得金額 – 所得控除の合計 = 課税所得金額
4 課税所得金額 x 税率 – 速算控除額 = 算出税額
5 算出税額 – 税額控除 = 納付すべき所得税額

ここで重要なのは、「収入」「所得」「課税所得」はすべて異なる金額であるということです。「年収500万円だから税率20%で100万円の税金」というような単純計算にはなりません。給与所得控除や各種の所得控除を差し引いた後の課税所得に対して税率がかかるため、実際の税負担は年収から直感的に想像するよりもかなり低くなります。

所得税の税率|超過累進課税の仕組み

日本の所得税は「超過累進課税」を採用しています。これは、所得が多くなるほど段階的に高い税率が適用される仕組みです。ただし、所得の全額に高い税率がかかるわけではなく、各段階を超えた部分にのみ、その段階の税率が適用される点を理解しておきましょう。

所得税の速算表(2025年分)

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 ~ 194万9,000円 5% 0円
195万円 ~ 329万9,000円 10% 9万7,500円
330万円 ~ 694万9,000円 20% 42万7,500円
695万円 ~ 899万9,000円 23% 63万6,000円
900万円 ~ 1,799万9,000円 33% 153万6,000円
1,800万円 ~ 3,999万9,000円 40% 279万6,000円
4,000万円以上 45% 479万6,000円

(出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」をもとに作成)

たとえば課税所得金額が350万円の場合、速算表を使うと「350万円 x 20% – 42万7,500円 = 27万2,500円」が所得税額です。さらに2037年までは復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)が加算されるため、「27万2,500円 x 2.1% = 5,722円」を足した約27万8,222円が最終的な所得税額となります。

2025年(令和7年)分の税制改正で何が変わった?

2025年(令和7年)分の所得税からは、いわゆる「年収の壁」見直しに関連した大きな改正が行われています。収入と所得の理解に直結する改正ポイントを整理しておきましょう。

基礎控除額の引き上げ

従来は合計所得金額2,400万円以下の方には一律48万円だった基礎控除額が、所得に応じて段階的に引き上げられました。特に、合計所得金額132万円以下の方は基礎控除額が最大95万円まで拡大されています(ただしこの上乗せ分は2025年分・2026年分の2年間の時限措置で、2027年分以降は58万円が基本となる予定です)。

給与所得控除の最低保障額の引き上げ

給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられました。これにより、パートやアルバイトの方の非課税ラインが従来の年収103万円から年収160万円(基礎控除95万円 + 給与所得控除65万円)へ大幅に引き上げられています。

特定親族特別控除の新設

19歳以上23歳未満の親族(大学生年代のお子さんなど)について、その親族の合計所得金額が58万円を超え123万円以下の場合に段階的に適用される「特定親族特別控除」が新設されました。

これらの改正はいずれも「所得」の概念を正しく理解していないと、適用を受けられるかどうかの判断ができません。収入と所得の違いを知ることは、制度改正をきちんと活用するための第一歩でもあるのです。

よくある間違いと注意点

収入と所得を混同することで起こりがちなミスや誤解をまとめます。

間違い1:「年収500万円だから税率20%」と思い込む

年収500万円の会社員の場合、給与所得控除(144万円)を差し引くと所得金額は356万円。さらに基礎控除(58万円)や社会保険料控除(仮に約70万円)などを差し引くと、課税所得はおよそ228万円程度になります。税率は10%の区分に該当し、実際の所得税額は約13万円程度です。年収に直接税率を掛けたら100万円になってしまいますから、大きな差があることがわかります。

間違い2:確定申告書の「収入」欄と「所得」欄を取り違える

確定申告書の第一表には「収入金額等」と「所得金額等」の二つの記入欄があります。ここを逆に記入してしまうと、本来よりも高い税額が算出されたり、逆に過少申告になったりします。申告書作成時は、源泉徴収票や帳簿の数字と照らし合わせながら慎重に記入しましょう。

間違い3:副業の「売上」をそのまま所得として申告する

副業で得た収入がある場合、売上(収入)からかかった経費を差し引いた金額が所得です。売上がそのまま所得になるわけではありません。経費を差し引くのを忘れると、所得を過大に申告してしまい、余分な税金を払うことになります。

間違い4:パート収入で扶養の範囲を「収入」で考えてしまう

「年収103万円以内なら扶養に入れる」という話は有名ですが、正確には「給与所得控除を差し引いた後の所得が一定額以下」かどうかで判定されます。2025年分以降は控除額が変更されていますので、従来の目安金額をそのまま適用しないよう注意してください。

確定申告をスムーズに行うためのポイント

収入と所得の違いを踏まえた上で、確定申告を円滑に進めるためのポイントを紹介します。

源泉徴収票をしっかり確認する

会社員の方は、勤務先から受け取る源泉徴収票が確定申告の基礎資料になります。「支払金額」が収入、「給与所得控除後の金額」が所得にあたります。この二つの数字の違いを意識しながら確認しましょう。

帳簿と領収書は日頃から整理する

個人事業主の方は、必要経費を証明するための帳簿付けと領収書の保管が不可欠です。確定申告の時期になってから慌てて集めるのではなく、日常的に記録をつけておくことで、正確な所得金額の算出がスムーズになります。クラウド型の会計ソフト(マネーフォワード クラウド確定申告、freee会計、弥生のクラウド確定申告ソフトなど)を活用すれば、日々の記帳から確定申告書の作成まで効率的に行えます。

国税庁の確定申告書等作成コーナーを活用する

国税庁のWebサイトでは、画面の案内に沿って金額を入力するだけで確定申告書を作成できる「確定申告書等作成コーナー」が無料で提供されています。給与所得控除額や各種控除額は自動で計算してくれるため、収入と所得の計算で迷った場合にも安心です。e-Taxで電子申告すれば、わざわざ税務署に出向く必要もありません。

迷ったら税理士や税務署に相談する

所得の分類が複雑な場合や、複数の収入源がある場合は、税理士への相談を検討しましょう。また、確定申告の時期(2月16日~3月15日頃)には税務署や自治体で無料の相談会が開催されることもあります。一人で悩まず、専門家の力を借りることも大切です。

会社員にも確定申告が必要なケース

「自分は会社員だから確定申告は関係ない」と思っている方もいるかもしれません。しかし、以下のようなケースでは会社員でも確定申告が必要(または申告することで得をする場合)があります。

ケース 必要 / 任意 ポイント
給与年収が2,000万円を超える 必要 年末調整の対象外のため自分で申告
副業の所得が20万円を超える 必要 「所得」が20万円超かどうかで判定(収入ではない)
2か所以上から給与を受けている 必要(条件あり) 主たる給与以外の収入が20万円を超える場合
医療費が年間10万円を超えた 任意(還付あり) 医療費控除は年末調整では受けられない
住宅ローン控除の初年度 必要 2年目以降は年末調整で対応可能
ふるさと納税で6自治体以上に寄付 必要 ワンストップ特例が使えないため
年の途中で退職し、再就職していない 任意(還付あり) 年末調整を受けていないため、還付の可能性大

とくに副業の判定で「所得が20万円を超えるかどうか」という基準については、まさに収入と所得の違いが重要になる場面です。たとえば副業の売上が30万円でも、経費が15万円かかっていれば所得は15万円となり、確定申告は不要(所得税に限る)になります。

「手取り」との違いにも触れておこう

ここまで「収入」と「所得」の違いを中心に解説してきましたが、もう一つよく混同されるのが「手取り」です。手取りとは、収入から所得税、住民税、社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)などをすべて差し引いた、実際に銀行口座に振り込まれる金額のことです。

これら三つの関係を整理すると次のようになります。

用語 意味 年収400万円の会社員の場合(目安)
収入(年収) 額面給与の年間合計 400万円
所得 収入 – 給与所得控除 約276万円
課税所得 所得 – 所得控除の合計 約148万円(控除額による)
手取り 収入 – 税金 – 社会保険料 約310~320万円(目安)

このように、同じ「年収400万円」という数字から出発しても、「所得」「課税所得」「手取り」はそれぞれ異なる金額になります。税金に関する書類や制度で求められているのがどの金額なのかを常に意識することが大切です。

まとめ|収入と所得の違いを理解して、正しい確定申告を

この記事のポイントを振り返りましょう。

「収入」は経費を差し引く前のお金の総額であり、「所得」は収入から必要経費や給与所得控除を差し引いた後の金額です。そして税金は所得をもとに計算されるため、この二つを正しく区別できるかどうかが、正確な確定申告や節税対策の出発点になります。

2025年(令和7年)分からは基礎控除や給与所得控除の見直しにより、非課税ラインや控除額が大きく変わっています。「以前の知識で大丈夫」と思い込まず、最新の情報をチェックすることが重要です。国税庁のWebサイトや確定申告書等作成コーナーを活用すれば、複雑な計算も自動で処理してくれます。

収入と所得の違いを正しく理解し、受けられる控除は漏れなく活用して、賢く確定申告を行いましょう。

(本記事は2026年2月時点の情報に基づいています。税制は毎年改正されるため、最新情報は国税庁のWebサイト等でご確認ください。また、個別の税務判断については税理士等の専門家にご相談されることをおすすめします。)

 

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